トヨタ、EV工場再延期という異例判断、世界市場の変調か

【引用:Depositphotos】世界最大級の自動車メーカーであり、ハイブリッド市場を長年リードしてきたトヨタが、電気自動車(EV)への全面転換に慎重な姿勢を崩していない。だが今年、福岡県苅田町で予定していたEVバッテリー工場の着工を二度にわたり延期したという報道は、業界内外に大きな驚きを与えた。EV販売が20%超増加した一方で工場計画は後ろ倒しとなり、この「逆行」に見える判断をめぐり、トヨタの本音を探る声が高まっている。

【引用:Depositphotos】この工場計画は、日産が北九州市で進めていたバッテリー工場建設を撤回した流れとも重なり、日本国内の自動車産業全体に慎重論を広げている。トヨタは土地取得費として60億円を支払い、3年以内に着工する契約を結んでいた。しかし3月に続き今回も延期を決めた背景には、世界的な「EV需要の鈍化」が想定以上に深刻だという判断がある。

【引用:Toyota】実際、トヨタの2024年EV販売は前年比20.6%増の11万7,031台と成長基調にあるものの、同社はこれを「想定を下回る水準」と評価。2026年3月期のグローバルEV販売予測は、当初の27万7,000台から10%引き下げられた。急速な投資を避け、稼働率低下や過剰設備化のリスクを抑えたいという経営判断がうかがえる。

【引用:Toyota】もっとも、今回の延期はEV戦略の後退を意味するものではない。トヨタは2027年頃に中国・上海へレクサスEV生産の新工場を開設する計画を維持しており、LF-ZCやLF-ZLといった次世代EVの量産拠点として期待される。純EV一本化には踏み切らず、ハイブリッド、プラグインハイブリッド、水素といった複数の技術を併走させる「マルチパスウェイ戦略」を継続する姿勢は揺らいでいない。

【引用:Depositphotos】グローバルに「EVスローダウン」の兆候が表面化する中、トヨタが二度の延期を決めた事実は、同社が市場環境を慎重に見極めながら投資タイミングを調整する方針を象徴する。短期的な刺激よりも、変動の大きいEV市場を長期視点で読み解く戦略だ。トヨタの判断が未来の主導権確保につながるのか、それとも競合の加速に遅れを取るのか、今後の動向が注目される。

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