
買い物後、トランクの食品の傷みを心配する運転手は多い。「外気循環モードで天井の穴から風が出て温度調整される」との情報がネットで裏技のように広まっているが、これは空調の仕組みを誤解した情報だ。トランク付近の穴はエアコンの吹き出し口ではなく、車内の空気を外に逃がす「空気排出口」にすぎない。

エアコンとヒーターの風はダッシュボードと前後席の吹き出し口からのみ送られる。トランク天井の穴は車内の空気を車外へ逃がす通路で、気圧上昇によるドアの閉まりにくさや乗り心地悪化を防ぐ。ドアを閉めた際の耳への圧迫や窓ガラス破損を防ぐ安全弁でもあり、冷暖房用の装置ではない。

外気循環モードで空気が後部排出口から出るため、トランク周辺に空気の流れは生じる。だがこの空気は車内を通過し温度が変化済みのため、冷暖房効果は微々たるものだ。むしろ外気モードにこだわると熱気が流入し続け、冷房効率を下げかねない。食品保管にはクーラーボックスや保冷バッグ、保冷剤の活用が確実で、鮮度重視の品は後部座席の足元に置くのが良い。

車の便利な機能を知り活用するのは良いが、工学的事実と異なる俗説を鵜呑みにすると車両管理や食品保管に支障が出かねない。トランクの空気の流れの原理を正しく理解し、状況に応じた保管用品を活用することが、車をスマートに管理する本当のコツだ。