「タイヤを吸って走っている」電気自動車が撒き散らす見えない毒

【引用:トヨタ】電気自動車は走行中に排気ガスを出さない。しかし、それだけで完全に環境負荷がないと断言するのは早計だ。車が走る限り、タイヤは路面と接触し続け、摩耗によって微細なゴム粒子を絶えず発生させる。これらは空気中を漂い、水系へ流入し、生態系だけでなく人間の体内にも入り込む。排出源がマフラーからタイヤへ移っただけで、道路由来の汚染が消えたわけではないという視点は、電動化時代の自動車を考える上で避けて通れない。

【引用:depositphotos】この分野の研究はまだ進行段階にあるが、初期の結果は決して楽観的ではない。学術誌に掲載されたレビュー論文では、タイヤ摩耗粒子が研究対象となった生物に対し重大または有害な悪影響を及ぼす可能性が示された。特に問題となるのは排出量で、一般的な乗用車でもタイヤ寿命の間に数キログラム単位のゴムを失う。一方で車重の重い電気自動車では摩耗が加速し、一部の電動ピックアップでは走行距離1万kmに満たない段階で交換が必要になった事例も報告されている。

【引用:depositphotos】タイヤは約40%が天然ゴムで、残りは石油由来の合成ゴムから構成される。このため摩耗粒子は巨大なマイクロプラスチック発生源となる。道路から雨水とともに流出するマイクロプラスチックの最大90%がタイヤ由来と推定されている点は見過ごせない。さらに深刻なのが化学成分で、タイヤゴムからは2400種を超える物質が検出されている。中でも6PPDは大気中のオゾンと反応して6PPDキノンに変化し、サーモンに致命的な毒性を示すことが知られており、近年では人間の神経系への影響も指摘され始めている。

【引用:depositphotos】メーカー各社も対策に動いている。微細粒子排出を大幅に抑えたタイヤの投入や、摩耗低減技術の高度化が進む一方、摩耗を減らす素材が別の有害物質を伴う可能性という課題は残る。加えて、タイヤは寿命末期に近づくほど、より多く、より小さな粒子を放出し、トレッド摩耗が70%を超えると発生量が急増する。こうした粉塵が我々の時代のDDTと呼ばれる理由は明確だ。電気自動車時代においても道路上の汚染は消えない。ただ排出口の位置が変わっただけなのである。

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