
【引用:Depositphotos】車を購入する際、多くの人がSUVとセダンのどちらを選ぶか悩む。外観や価格、燃費や維持費など様々な要素が比較対象となるが、その中でも「安全性」は最も重視されるポイントの一つだ。一般的に大きく頑丈に見える車は安全だと考えられやすく、SUVは衝突時に乗員を守る性能で優れる場合が多い。しかし、車の安全性は単に乗員保護の観点だけでは語れない。歩行者や他車への影響も含めて考える必要がある。

【引用:Depositphotos】ロンドンの研究機関が分析した68万件以上の事故データによると、SUVやLTVとの衝突では一般乗用車と比べて歩行者や他車利用者が致命傷を負う可能性が44%高く、子どもの場合は82%に達するという結果が出ている。つまり、SUVは乗員保護には有利だが、周囲に与えるリスクが大きい点が課題とされている。

【引用:Depositphotos】さらにSUVは重心が高いため、セダンよりも転覆リスクが高い。重心が高い車は急ハンドルやカーブでの遠心力を受けやすく、車体のバランスを崩しやすい。米国IIHS(道路安全保険協会)の統計によれば、年間28万件以上の転覆事故が報告され、死者は1万人を超えている。このうちSUVが占める割合は35.7%で、セダンの15.8%と比べても高い数値となっている。

【引用:Depositphotos】一方で、セダンは低い車高と重心により走行安定性に優れ、道路にしっかりと張り付くような感覚を持つ。急な方向転換や高速道路での安定走行において、転覆のリスクはSUVよりも低い傾向がある。走行時の安心感という点で、セダンには依然として大きなメリットが存在する。

【引用:Depositphotos】制動距離の観点でも違いがある。SUVは車体が大きく重いため、同じ速度でブレーキを踏んでも停止までに長い距離を必要とする。インドの研究によれば、SUVの制動距離はセダンの約1.66倍に達する可能性が示されている。制動距離が長いということは、突発的な状況で回避行動を取る余裕が少なく、事故リスクの増加につながる。対してセダンは軽量で俊敏に反応できるため、危険を避けやすい利点がある。

【引用:Depositphotos】結論として、SUVとセダンのどちらが「より安全」かは一概には言えない。SUVは視界の広さや乗員保護性能で優れる一方、転覆リスクや制動距離では弱点を抱える。セダンは走行安定性や制動性能で強みを持つが、車体サイズの小ささが衝突時に不利に働く場合もある。最終的に安全性を左右するのは車の特性を理解し、運転者自身が状況に応じた安全運転を徹底できるかどうかにかかっている。