
ロボタクシー拡大と安全性への疑問
飲酒運転や走行中のスマートフォン操作がないドライバーとして宣伝されるアルファベット傘下の自動運転開発企業ウェイモ(Waymo)が展開するロボタクシーが、危険な走行事例によって米国内で安全上の懸念を招いている。
ウェイモは自社車両が人間のドライバーよりはるかに安全だという統計を根拠に、米国内複数都市に展開する数千台規模のロボタクシー事業を拡大しているところだ。
しかし、CNNが連邦政府の記録とソーシャルメディアを詳細に分析した結果として2日(現地時間)に報じたところによると、ドライバーが乗車しないという同サービスの特徴が、これまでにない安全上の問題を引き起こしていることが浮き彫りになったという。CNNによれば、ロボタクシーが赤信号で交差点を通過したり、逆走したり、横断歩道を渡る歩行者をひきそうになる危険な状況が数百件以上に上るとしている。人間なら本能的に対処したであろう障害物の前で、人工知能(AI)技術の盲点が露わになった。
相次ぐ事故と緊急救助の妨害
直近数か月だけを見ても、テキサス州やジョージア州などでウェイモの車両が冠水した道路に進入し、孤立・水没する事故が相次いだ。サンフランシスコでは高速道路の規制区間にウェイモの車両が進入し、工事車両や設置物を回避しながら走行を続け、警察による停車指示にも対応できない事態が発生したとCNNは伝えている。アリゾナ州では停車中のウェイモから降りようとした14歳の少年が後輪に挟まれる事故も起きた。一連の事態を受けて、リコールを複数回実施したほか、一部地域での高速道路走行を停止し、悪天候時の運行に制限措置を講じた。
中でも深刻なのが、ロボタクシーが地域の緊急救助活動を妨げているという問題だ。テキサス州オースティンで発生した銃乱射事件の際には、ウェイモの車両が現場に急行する救急車の進路を塞ぎ、警察官が手動で車両を移動させる事態に至ったとされる。また、後部座席で眠る酔客を緊急患者と誤認した遠隔支援要員が警察や救急に通報し、警察と救急隊員が無駄足を踏む事例も後を絶たない。ロサンゼルス、サンフランシスコ、オースティンなど実際に影響を受ける自治体は、自動運転車の規制権限が州政府側にあることから、手をこまねいている状況だ。
反論と自動運転技術の課題
ウェイモ側は自社データを根拠に重傷事故の発生率は人間が運転する場合を大幅に下回るとし、指摘された問題は極めて例外的なケースだと反論する。多数の車両に対して常時約70人の遠隔支援担当者を配置していると強調した。しかし、米議会の調査では、フィリピンなど海外に拠点を置く遠隔支援要員の活用について複数の議員が懸念を示しており、批判の声が上がっている。自社の統計には反映されない軽微な事故への懸念も、依然として残されたままだ。
ジョージ・メイソン大学のミッシー・カミングス教授(米国運輸省道路交通安全局〈NHTSA〉顧問を歴任)は、自動運転AIは水たまりの深さのような不確実な状況への対処能力が著しく劣ると指摘し、複雑な都市環境に進出するほど多くの問題に直面するだろうと警告している。