「関税の最終勝者になれ」豊田章男が米国産カムリを日本に逆輸入した理由

引用:トヨタ
引用:トヨタ

日本の自動車産業を支えるには、内需生産の量もある程度確保しておく必要がある。しかし、関税問題が浮上すれば状況は変わる。米国産カムリを日本に導入して販売を再開すれば、米国との関税問題でも一定のプラス効果があるのではないかと考える。

トヨタの豊田章男会長は、米国ケンタッキー州ジョージタウン工場で生産されたトヨタの中型セダン「カムリ」を日本に逆輸入する背景をこう説明した。

豊田会長は6日、静岡県富士スピードウェイで開催された自動車耐久レース大会「スーパー耐久2026」第3ラウンドで、日本政府と企業、そして顧客のすべてが、関税交渉の最終的な勝者とならなければならないと述べた。

この日のスーパー耐久2026第3ラウンド会場には、米国産11代目(海外市場基準9代目)カムリが日本市場に初めて姿を現した。トヨタが昨年12月にカムリをはじめ、3列シートSUV「ハイランダー」と大型ピックアップトラック「タンドラ」など3車種を米国から逆輸入すると発表してから、6か月が経過したことになる。その間にハイランダーとタンドラは日本で正式販売を開始している。

カムリの日本発売時期は今秋に予定されている。中島拓紀トヨタ自動車最高技術責任者(CTO)副社長は、米国で右ハンドル仕様のカムリを製造し、日本国土交通省の認証を受けていると述べ、今秋頃に発売して年間1万台の販売を目指すと語った。2023年末に国内向け生産・販売を終了していたカムリが、約3年ぶりに世代変更モデルとして再び販売されることになる。

トヨタがカムリの逆輸入に乗り出したのは、米国が自動車品目の関税を強化した根本原因である日米間の貿易不均衡を緩和するための措置とみられる。ドナルド・トランプ米大統領は、年間2,000億ドル(約31兆円)に達する自動車貿易赤字を根拠に、2025年4月からすべての輸入自動車に25%の関税を課した。その後、各国との貿易交渉を通じて関税率を調整し、日本とは昨年7月に交渉をまとめて日本産自動車の関税率を15%に引き下げている。

それでも日本は昨年、米国自動車貿易赤字(1,280億ドル、約20兆4,570億円)のなかでメキシコに次いで2番目に多い353億ドル(約5兆6,400億円)を占め、同3位の韓国(287億ドル、約4兆5,900億円)を上回る水準にある。ホワイトハウスが公表した合意履行文書には「貿易赤字解消」が繰り返し言及されており、関税問題が再燃する可能性は排除できない。トヨタの米国産車両が日本に逆輸入されれば、米国の自動車輸出実績に集計され、米国の対日貿易赤字の縮小につながる。

米国産カムリが日本に逆輸入されるのは1990年代以来2度目だ。当時も日米貿易摩擦の解消を目的に、同様の措置がとられた経緯がある。それまでは愛知県の堤工場で生産され、内需向けに供給されていた。日本の消費者の一部には、米国の通商圧力への対応策と映る可能性もある。しかしトヨタはこの日、米国産カムリ11代目を豊田会長と中島副社長のカスタマイズ対決形式で披露し、会場の雰囲気を和やかにした。

豊田会長のGAZOO Racing(GR)チームは、白いカムリにフェンダーとバンパー、リアスポイラーを取り付け、エンジンを7気筒仕様に改造した。中島副社長のTOYOTA RACINGチームは、黒いカムリに大型フロントスプリッターとリアスポイラーを追加し、マフラーを延長して上方へ立ち上げた。改造カムリの仕上がりに豊田会長は「もうすぐ株主総会があるが、心配だ」と言いながらも、中島副社長を見て「担当役員はあなたじゃないか」と冗談を言った。

トヨタはカムリの日本再販売を通じ、若い消費者への訴求を強化する方針だ。中島副社長は「日本ではカムリの販売が振るわず販売終了となってしまったが、米国では依然として人気のある車だ」と述べ、「昨年米国を訪れた際、現地の若い顧客から、両親がSUVを多く乗っているため、セダンが逆に『クール』なイメージだと聞いた」と語った。トヨタ関係者は「日本もSUVと軽自動車中心に自動車市場が再編されており、道路でセダンを見かける機会は少ない」とし、「新型カムリが日本の若い顧客に新鮮な感覚を与えることを期待している」と述べた。

あわせて読みたい

関連キーワード

コメントを残す

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

モバイルバージョンを終了