
ロック解除の瞬間、駐車場の雰囲気が一変する
メルセデス・ベンツ Sクラスのキーを押す瞬間から始まる。ヘッドランプ内のスリーポインテッドスターのグラフィックが、ロック解除と同時に星型のウェルカムアニメーションを展開する。駐車場でこの光景を目にすれば、周囲の注目を集めることは間違いない。AMGラインにナイトパッケージを組み合わせたモデルは、ブラックアクセントによってより引き締まった表情を生み出している。グリルも従来より大型化し、正面からの圧倒的な存在感を放つ。乗車前から独自の世界観を演出する一台といえる。
路面に光を描くヘッドランプ、量産車とは思えない革新性
DIGITAL LIGHTが今回のSクラスフェイスリフトの核心技術だ。ヘッドランプは単に前方を照らすだけでなく、路面に多様なグラフィックを直接投影する。夜間にこの機能を作動させると、路面にオーロラのような光のグラフィックが描き出される。海外の自動車メディアが注目しているのもうなずける。量産車でこれほどの光の演出が実現されているという事実は、いまだ驚きをもって受け止められている。

ドアを開けると、航空機のファーストクラスさながらの空間が広がる

室内装備の充実ぶりは、どこから語り始めるべきか迷うほどだ。14.4インチの中央ディスプレイに加え、助手席専用の12.3インチディスプレイが連携する構成となっている。MBUXシステムにより、YouTube、ビデオ会議、ゲーム、ストリーミングまで車内で楽しめる。ナッパレザーのシートとブルメスターサラウンドサウンドシステムを採用し、アンビエントライトは音声コマンドで色調を変更できる。拡張現実ナビゲーションと連動させると、車内全体が一つのインタラクティブ空間として機能する。車内にいることを忘れさせるほどの快適性を実現している。

後部座席の乗員にも独立したディスプレイを提供
VIPパッケージを選択すると、後部座席が一変する。最上級のエグゼクティブシートが装備され、後席の乗員も独立したディスプレイとコントローラーを使用できる。前席を意識することなく、後席で独立して操作や視聴を楽しめる構造となっている。ショーファードリブンで運用するオーナーにとっては、事実上の必須装備といえる。後席が前席以上に快適であるという言葉が最もあてはまるモデルとして、このSクラスは筆頭に挙げられる。

夜間走行で真価を発揮する革新的技術
日中の走行性能も高水準だが、夜間走行でこそ本来の実力が際立つ。拡張現実ヘッドアップディスプレイとDIGITAL LIGHTが連携し、車線、進行方向、周囲の車両情報をリアルタイムで表示する。強力なハイビーム性能と精密なビーム制御により、対向車を眩惑させることなく暗い道路を照らし出す。ドライバーの夜間視界が従来モデルとは大きく異なるという評価も、的を射ている。夜間の高速道路走行でこのシステムをフル活用すれば、他のモデルへの乗り換えに抵抗を感じるドライバーも少なくないだろう。

Sクラスが再び業界基準を更新
S 580 eは直列6気筒ガソリンエンジンとプラグインハイブリッドシステムを組み合わせ、一充電航続距離100km超を実現している。10度の後輪操舵システムも搭載し、この車格で小型車並みの取り回し性能を発揮する。フラッグシップセダンとして毎世代基準を引き上げてきたが、今回のフェイスリフトもその伝統を継承している。競合モデルとの差を改めて印象づけるフェイスリフトといえる。Sクラスの価値をあらためて体現した一台だ。