「金正恩は3000万円マイバッハ、庶民は車すら遠い」北朝鮮の異常な”自動車格差”

【引用:平和自動車】北朝鮮の最高指導者、金正恩氏が公の場に姿を見せるたび、その車列が注目を集める。2024年には、日本円で約3,000万円に相当するメルセデス・マイバッハGLS 600 4MATICの改良型とみられるSUVが確認された。国連安全保障理事会の制裁によって北朝鮮への高級車輸出が禁止されているだけに、どのような経路で持ち込まれたのかは明らかになっていない。なお、車種は映像からの推定であり、「3億ウォン超」や「防弾ガラス装備」とする情報には確かな裏付けがない。一方、一般住民にとって自動車は今も極めて高価で、自由に購入して日常の足として使える商品とは言い難い。

【引用:平和自動車(統一部)】北朝鮮の自動車生産は、1958年に旧ソ連製トラックを参考にした「勝利58号」から本格化したとされる。ただし、平和自動車を「北朝鮮唯一の自動車会社」と呼ぶのは正確ではない。勝利自動車工場をはじめ、バスや商用車などを扱う複数の生産拠点が存在するためだ。平和自動車は1990年代末、世界平和統一家庭連合系の韓国企業と北朝鮮側企業による合弁事業として設立され、南浦の工場で2002年から乗用車の本格的な組み立てを開始した。しかし、韓国側は2012年に保有株式を北朝鮮側へ譲渡し、合弁関係から撤退。したがって、現在も南北共同事業として運営されているわけではない。

【引用:Unsplash】平和自動車の代表車種として知られるのが、フィアット・シエナをベースとした小型セダン「フィパラム」だ。韓国語で「口笛」を意味し、英語ではWhistleと紹介されることもある。また、初期の「ポックギ」はフィアット・ドブロをベースとし、その後は中国メーカーのSUVや商用車を基にした同名モデルも登場した。「チュンマ」の名も高級セダン系に使われ、双龍チェアマンや中国製車両との関係が指摘されているが、年代によってベース車が異なるため一括りにはできない。いずれにしても、主要部品まで独自開発する方式ではなく、海外製部品を輸入して組み立てるノックダウン生産が中心だったことが、北朝鮮自動車産業の限界を物語っている。

【引用:depositphotos*この画像は記事の内容と一切関係ありません】北朝鮮では長年、乗用車の多くが国家機関や企業名義で管理され、一般住民による所有や登録は厳しく制限されてきた。ただし、「住民は免許を取得できない」「平和自動車を買えば無条件ですぐナンバーが交付される」「外国車や中古車は全面禁止された」といった断定は、公開資料では確認できない。近年は個人利用とみられる車や専用ナンバーも増え、私有車を制度内で管理しようとする動きも伝えられている。それでも、車両価格や燃料、整備部品、道路事情を考えれば、所有できる層が平壌の富裕層や特権層に偏る構図は変わらない。最高指導者が制裁対象の超高級SUVを使う一方、多くの住民には車そのものが遠い存在であることこそ、北朝鮮の自動車事情を象徴している。

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