
テスラ小型SUV開発へ、モデルS・モデルX縮小で廉価版EV戦略を加速
テスラが、高級セダン「モデルS」および高級SUV「モデルX」の生産を段階的に縮小し、次世代の主力商品として小型SUV(コンパクト・クロスオーバー)の開発を本格化させているとの見通しが浮上している。ロボティクスやAI、完全自動運転(FSD)へのシフトを鮮明にする一方、販売ボリュームを確保するための廉価版EVラインアップを拡充し、成長を再加速させる戦略だ。
次世代プラットフォームで製造コストを大幅削減
複数のサプライヤー関係者によれば、テスラは現在、製造コストを劇的に低減させる新開発のプラットフォームをベースにした新車開発を推し進めている。この新型車は「モデルY」の縮小版ではなく、次世代の製造プロセスを前提とした完全新設計となる見込みだ。
予想全長は約4.28m、モデルYより大幅にコンパクトなサイズに
予想される全長は約4.28mと、モデルYより大幅にコンパクトなサイズに設定される。車体のダウンサイジングに伴い、バッテリー容量や航続性能は現行モデルより抑えられるものの、圧倒的な価格競争力を実現するための戦略的なパッケージングと言える。
現行の「モデル3」が提供する航続距離や動力性能をあえて追わず、より実用的な価格帯を目指すこの方針は、テスラがかつて提唱した「EVの民主化」を具現化する狙いがある。
実現時期には不透明感も、ハンドル付きモデルと無人車両を並行開発
しかし、その実現時期については依然として慎重な精査を要する。過去の「ロードスター」プロジェクトの停滞や、ロボタクシーへの一時的な注力による開発優先順位の変更など、テスラの計画変更は珍しくないからだ。同社は現在、完全自動運転が普及するまでのブリッジ戦略として、ハンドルを備えた普及型モデルと、将来の完全無人車両を並行して開発する柔軟な姿勢を維持している。
EV大衆化の鍵を握る価格競争力、市場シェア奪還へ
現在、エントリーモデルであるモデル3の開始価格は約440万円水準だが、開発中の小型SUVがこれを大きく下回る価格で市場に投入されれば、EV普及の勢力図を塗り替える真の「大衆化」を左右する一手となる可能性がある。直近2年間の成長鈍化に直面するテスラにとって、この新型モデルが量産化されるかどうかが、市場シェア奪還の鍵を握ることになる。