
【引用:Kemah Police Department】2025年12月、米テキサス州南東部の小都市ケマで、前例のないパトカー実験が始まった。Teslaの電動ピックアップであるCybertruckを、ケマ警察署が実際の巡回業務に投入したのである。環境政策グリーンイニシアティブの象徴として掲げられたこの試みは、30日間の実戦テストという位置づけだ。購入費はかかっておらず、車両と警察用ラッピングは民間企業エンタープライズ・リーシングからの寄付によるものだった。それでもSNSや地域社会の反応は冷ややかで、未来的というより違和感が先行した。

【引用:Kemah Police Department】批判の中心は実用性だ。警察車両に求められるのは追跡性能と即応性であり、バッテリー切れや充電インフラ不足は致命的と受け止められている。特に洪水が多いテキサス沿岸部という地域特性から、浸水時の走行性能への疑念も噴出した。オンライン上では洪水が起きたらレッカー車を待つだけ、強力な加速より電欠が怖いパトカーといった皮肉が飛び交う。警察側は走行距離や耐久性、悪天候下での挙動を冷静に検証するとしているが、現場目線の不安は簡単には消えない。

【引用:Kemah Police Department】デザイン面での拒否反応も無視できない。ステンレスの直線的ボディは、車輪付き冷蔵庫や走るゴミ箱と揶揄され、威厳を重んじるパトカー像から大きく逸脱していると指摘される。さらにElon Muskを巡る政治的論争が重なり、今回の導入は治安より見せびらかしだという見方も生まれた。カリフォルニア州のIrvine Police Departmentが広報用途に限定し、Las Vegasが特殊装備付きで重大事件対応に使うのと比べると、小規模自治体ケマの挑戦は背伸びに映る。

【引用:Nathan Merritt】それでもこの一件は、パトカー市場が内燃機関からEVへ移行する転換点を象徴している。フォードやシボレーが長年支配してきた分野に、テスラが本格参入する兆しだからだ。税金を使わず民間協力で新技術を試すモデルは、財政に余裕のない自治体にとって現実的な選択肢となり得る。最終的な評価を下すのは30日後の公式報告書だ。サイバートラックが走るゴミ箱の汚名を返上し、次世代の治安装備として受け入れられるのか、それとも話題先行の実験で終わるのか。その結論は今後の警察EV導入の指針となる。