
1989年9月に初登場したトヨタの5代目セリカ(ST185型)の最上位モデル「GT-FOUR」は、当時最高の技術力を結集した高性能スポーツクーペだ。最高出力225馬力を発揮する3S-GTEガソリンターボエンジンと強力なフルタイム4WDシステムを組み合わせ、優れた走行性能を誇った。さらに、流線形で洗練されたエクステリアデザインも加わり、登場と同時に世界の自動車ファンから熱い注目と称賛を集めた。
セリカGT-FOURは、単に公道で速い車というだけでなく、過酷さで知られる世界ラリー選手権(WRC)の舞台でも真価を証明した。荒れた悪路やグリップを確保しにくい悪天候の中でも、フルタイム4WDシステムならではの優れたトラクションと車体制御性能を武器にレースを圧倒した。最終的に1990年のWRCドライバー部門でチャンピオンタイトルを獲得し、トヨタの技術力を世界に印象づける契機となった。


インテリアは、スポーツドライビングへの没入感を最大限に高められるよう、運転席を包み込むコックピットレイアウトに仕上げられた。走行中に必要な情報をひと目で把握できるよう視認性を最優先し、メーターパネルとセンターフェイシアを配置した。さらに、激しいコーナリングでも身体をしっかり支える専用バケットタイプのスポーツシートを装備し、精緻な車両制御を可能にした。
強力な動力性能を備えたスポーツモデルでありながら、日常的に使えるデイリーカーとしての価値も忘れていなかった。当時の高級装備だったオートエアコンや電動調整式サイドミラーなど、多彩な快適装備を数多く採用し、本格スポーツカーならではの無骨さも高めた。こうした乗り心地と実用性の調和が、単なるレース用車両を超え、大衆的なスペシャルティクーペとしてセリカGT-FOURが長年愛され続けた理由となった。
5代目セリカGT-FOURは、強力な225馬力のターボ4WD性能とモータースポーツでの華々しい実績、さらに実用性まで兼ね備え、一時代を築いた名車だ。現在でもトヨタのスポーツカー史を代表する、最も象徴的なモデルの一つと評価されている。