「ドアハンドルとボタンだけは死守する」VWCEOが宣言、タッチパネル時代への決別

引用:フォルクスワーゲン
引用:フォルクスワーゲン

フォルクスワーゲン(VW)が、車両の室内操作系を再び物理ボタン中心に戻す方針を明確にした。

電気自動車専門メディアのインサイドEVsによると、フォルクスワーゲンのトーマス・シェーファー最高経営責任者(CEO)は1日(日本時間)、英メディア「トップギア」とのインタビューで、物理操作系の復帰について「譲れない一線(妥協不可)」であると述べた。

この発言は、同社が過去数年間推進してきたタッチパネル中心のデザイン基調を事実上修正する兆候と受け止められている。フォルクスワーゲンは業界全体の流れに合わせ、従来のボタンを減らし、表面型タッチや静電容量式操作を拡大してきた。しかし、この方式はユーザー体験(UX)の観点から消費者の不満が蓄積される結果となった。特にウィンドウスイッチのように物理ボタンを使用しながらも、運転席から後部座席の窓を専用ボタンで直接操作できない設計などが論争を呼んだと指摘されている。

シェーファー氏は、こうした設計の方向性を「iPhone風のデザイン」の影響だと説明し、デザイナー組織をより直感的な物理操作系に戻す過程は容易ではなかったと振り返った。同氏は社内の原則を強調し、「私にとって絶対に妥協できないものが二つある。ドアハンドルとボタンだ」と語った。続けて「あえてタッチ式のスライダーを使う理由が理解できない」と付け加えた。

物理ボタンへの回帰は、単なる嗜好の問題ではなく、電動化競争で揺らぐブランドの信頼を再構築するための戦略再調整に近い。同ブランドは累計200万台以上の電気自動車を販売したが、主要市場で苦戦を強いられている状況にある。シェーファー氏は需要を再び引き上げる核心原則を定めており、その軸として物理ボタンの拡大とともに、消費者が理解しやすいモデル名の復活も挙げている。

こうした動きの背景には、自動車産業全体のユーザーインターフェース(UI)競争がある。テスラが大型ディスプレイを中心に室内を構成して以降、多くのメーカーがこれに追随したが、直感的なUIを実現できず、消費者の反発を招いたという分析がある。フォルクスワーゲングループ傘下のブランド「スカウト・モーターズ」が、触感を重視した操作系を戦略の中心に据えたのも同様の文脈といえる。

シェーファー氏は、同社が目指す直感性について「フォルクスワーゲンは親しみやすい顔を持つべきで、ドアハンドルも直感的でなければならない。買い物で両手がふさがった状態で車に戻った時も、簡単に使えるべきだ」と述べ、「即座に理解できる車のために、実体のあるボタンと分かりやすい名称を再び採用する」と強調した。

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