
ゼネラルモーターズ(GM)と日産自動車など自動車業界が新車開発過程に人工知能(AI)を本格的に投入し、通常5年程度かかっていた開発期間の短縮に乗り出した。
27日(現地時間)、米IT系メディア『The Verge』によると、GMと日産はデザイン、空力解析、ソフトウェア開発全般にAIを適用し、開発速度を高めているという。
ポイントは、設計初期段階のボトルネックを解消することだ。従来の自動車開発は手描きのスケッチから始まり、繰り返し修正、3Dモデリング、粘土模型制作の過程を経るのが一般的だった。このため、一部2025年発売の車両も2020〜2021年から開発が始まったとされる。
GMと日産が取り組むAI活用の具体像
GMはデザイン段階にAIを導入した。GMのクリエイティブデザイナーであるダン・シャピロ氏は、手描きのスケッチを生成型デザインツール「Vizcom」に入力し、数時間で3Dモデルとアニメーションを制作したと説明した。従来は複数のチームが数か月にわたって行っていた作業だ。これらの成果物は外部公開用ではなく、社内検討用のムードボードとして活用されており、最終デザインの決定は依然として人間が担当している。
AIの活用は空気力学解析分野にも拡大した。スイス企業Neural Conceptはニューラルネットワークベースの空力解析技術を通じて、従来のスーパーコンピュータで数時間かかっていた計算をNVIDIA GPUベースで数分内に処理できると説明した。ジャガーランドローバーはNVIDIA GTCイベントで、従来4時間かかっていた空力分析が1分程度に短縮されたと明らかにした。
GMも「AIベースの仮想風洞」技術を開発中だ。GMの研究開発部門に所属するスコット・パリッシュ氏は、AIモデルが空気抵抗をほぼ即座に予測でき、デザイナーとエンジニアが形状を調整しながらリアルタイムで結果を確認できると説明した。それにより、従来のように設計後にエンジニア検証を行う方式から、初期段階から共同修正する方式に変化している。
ソフトウェア開発にもAIが浸透
ソフトウェア開発分野でもAIの適用が拡大している。ソフトウェア定義車両(SDV)の普及により、車両コード統合の複雑性が増し、開発遅延とコスト増大の問題が指摘されてきた。日産は反復的な単体テストの自動化にAIを活用している。日産自動車のSDV担当・吉沢隆氏は、AIベースのコード生成ツールが開発速度と品質改善に寄与していると述べた。
ただし、業界はAI導入の狙いを人員削減ではなく生産性向上に置いているとしている。GMのブライアン・スタイルズ氏は、AIは従業員をコア業務に集中させる役割を果たすと述べた。ニューラル・コンセプト共同創業者のピエール・バケ氏も、目的はエンジニア組織の縮小ではなく能力向上にあると述べた。
雇用への影響と業界の懸念
一方で、人員への影響を懸念する声もある。自動車デザイナー出身でイタリア・トリノIAADのマッテオ・リカタ教授は、「AIによる生産性向上が人員構造に影響を及ぼさないという見方は現実的ではない」と指摘した。
業界では開発スピード競争が激化している。GMはAIツールを次世代車両開発に適用しているが、発売時期は明らかにしていない。日産自動車は米国市場での競争力回復に向け、新車開発期間を30か月程度に短縮することを目指す。