
酒を飲んだ状態で自転車に乗って摘発されると、自動車の運転免許まで停止される可能性がある。最近、静岡県で実際に処分が下され、話題になっている。静岡県公安委員会は、自転車の飲酒運転など危険な行為をした9人に対し、自動車運転免許の停止処分を行った。静岡県内では初のケースだという。車には一度も乗っていないのに自動車免許が止められるのはなぜか。
自転車の飲酒運転はなぜ自動車免許停止につながるのか
静岡県公安委員会は、2026年1月から5月末までに、自転車で飲酒運転などの危険行為をした9人に対し、自動車運転免許の停止処分を行ったと明らかにした。自転車の違反を理由にした免許停止処分は、静岡県では今回が初めてだ。
自動車を運転していないのに免許が停止される点に驚く声もあるが、根拠は道路交通法第103条第1項にある。同条項では、免許を受けた人が各号に該当した場合、その人の住所地を管轄する公安委員会が、政令で定める基準に従い、免許を取り消すか、6か月を超えない範囲で期間を定めて免許の効力を停止できるとしている。このうち第8号には、「自動車等を運転することが著しく道路における交通の危険を生じさせるおそれがあるとき」が含まれる。
自転車の飲酒運転のように、特に悪質で危険な違反をした場合や、自転車でひき逃げ、死亡事故など重大な交通事故を起こした場合は、交通上の規範意識や運転適性に問題があり、自動車の運転者として不適格だと判断されることがある。この場合、上記の条項に基づき、自動車免許の停止処分が下される。
電動キックボードの飲酒運転も同様に処分対象となる
2025年10月、香川県高松市の道路で酒を飲んだ状態で電動キックボードを運転していた40代女性に対し、香川県公安委員会は2026年1月、自動車運転免許を6か月以内の範囲で停止する処分を行った。この女性は、歩道通行が認められない速度設定のまま歩道を走行した通行区分違反に加え、警察官の職務質問に飲酒の事実を否定するなど、悪質で危険な事情があったため、免許停止処分を受けた。
特に2024年11月の法改正で自転車の酒気帯び運転が新たに処罰対象となり、免許停止処分を受ける人も急増している。2025年の1年間に自転車の飲酒運転で自動車免許の停止処分を受けた人は、全国で1,507人に上り、前年の23人から約65倍に増えた。電動キックボードの場合、2025年1月から9月までに交通違反で免許停止処分を受けたケースは80件で、このうち77件が飲酒運転だった。前年は電動キックボードの違反による免許停止処分が7件にとどまり、そのうち飲酒運転は4件だったため、10倍以上に増えたことになる。
自転車・電動キックボードの事故リスクは統計にも表れている
2025年には、自転車乗用中の死亡・重傷事故が7,096件発生した。このうち5,336件、全体の約75%で、自転車側にも法令違反があったことが分かっている。電動キックボードを含む特定小型原動機付自転車関連の交通事故は2025年中に386件発生し、事故全体に占める飲酒事故の割合は11.1%だった。一般原動機付自転車の約19倍、自転車の約16倍に当たる高い割合だ。
自転車も電動キックボードも自動車に比べて小さな移動手段だが、飲酒運転をすれば重大な事故につながりかねない。静岡県の事例が示すように、自転車や電動キックボードの飲酒運転は自動車免許の停止という結果にもつながる。同様の処分は今後も増える見通しだ。