
人間工学的設計が生んだタッチスクリーンの進化
車内の大型タッチスクリーンに対する消費者の不満が高まる中、ポルシェが「カイエンEV」を通じてその解決策を提示した。単に画面サイズを大きくすることにこだわらず、人間工学に基づいて設計された曲面スクリーンを導入し、タッチ方式の根本的な課題であった操作性と視認性の問題を同時に解決した点が注目を集めている。
これまで多くのブランドがテスラに倣ってダッシュボード中央に平面タブレットを配置してきたが、これは運転中に視線を分散させ、不自然な腕の動きを引き起こすと指摘されてきた。一方、カイエンEVは「フローディスプレイ」と呼ばれる湾曲したスクリーンを採用し、運転者の手が自然に届く位置に主要機能を配置している。特にセンターコンソールの手首置き(フェリーパッド)を活用すれば、視線を道路に固定したままエアコンシステムや音楽選択、ナビゲーション設定を簡単に操作することが可能だ。
スマートなインターフェースと物理的操作の共存
内蔵ソフトウェアはAndroid基盤で動作し、Googleマップを標準搭載して直感的な使用環境を提供する。ポルシェはすべての機能を画面内に隠すのではなく、温度調整とファン速度用のロッカースイッチ、音量調整ダイヤル、ステアリングホイールの物理ボタンを残すなど、デジタルとアナログを巧みに使い分けている。シートヒーターやデフロスターなどがタッチ操作になった点に課題は残るものの、膨大な車両設定を管理するための最善の妥協案といえる。
単に画面が大きいことが最高という時代は終わりを迎えている。BMWのパノラミック・ビジョンやポルシェの今回の試みのように、技術と使いやすさが調和したスマートなインターフェースが次世代モビリティの基準となる見込みだ。後付け感のあるタブレットの代わりに、車両設計に溶け込んだ知的なスクリーンの登場は、運転者にとって明らかに歓迎すべき動きといえる。