「形だけのバッテリーで補助金を狙う」米自動車業界に広がるPHEV悪用の懸念

引用:Shutterstock
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米国の自動車業界において、電気自動車(EV)への完全移行ではなく、プラグインハイブリッド車(PHEV)を活用して排出ガス規制をクリアしようとする動きが強まっている。

米電気自動車専門メディアの「クリーンテクニカ(CleanTechnica)」が3日(現地時間)に報じたところによると、ピックアップトラックやSUV中心の生産構造で平均燃費が低いゼネラル・モーターズ(GM)やステランティスなどのメーカーが、PHEVの投入によって規制負担の軽減を図る可能性が指摘されている。

規制の空白期間が続く中、一部のメーカーは内燃機関車の生産を維持し、EVシフトの速度を抑制している。しかし、2026年の中間選挙で米共和党が敗北した場合、米環境保護庁(EPA)による厳格な排出ガス規制が復活する可能性がある。この際、PHEVが規制を回避するための「算術的な回避策(数学的チートコード)」として悪用される懸念が浮上している。

EPAはメーカーの企業別平均燃費(CAFE)を「調和平均」方式で算出する。この仕組みでは、限られたバッテリー資源を1台のEVトラックに投入する代わりに、複数台のPHEVトラックに分散させることで、燃費計算から除外される低燃費なV8エンジン車の数を大幅に増やすことが可能となる。結果として、純粋なEVへの転換を完了せずとも、フリート全体の規制基準を大幅に改善したように見せかけることができる。

懸念されるのは、メーカーが実質的な電動化の拡大ではなく、規制対応のみを目的とした「最低限の性能」のPHEVに終始する可能性だ。税制優遇を受けるために形式的にバッテリーを搭載した、いわば「形骸化したPHEV」が市場に溢れる恐れがある。例えば、アクセルをわずかに踏み込んだだけでガソリンエンジンが作動するように設計されるといったケースも排除できない。

こうした事態を受け、PHEVが単なる規制逃れの手段に陥らぬよう、明確な基準の策定を求める声が上がっている。具体的には、▽高負荷走行時のエンジン介入制限 ▽電気式暖房の義務化 ▽電気のみによる航続距離50マイル(約80キロ)以上の確保 ▽11キロ・ワット(kW)以上の充電器の標準装備 ▽特定の保護区間でのEVモード自動切り替え ▽補助金の段階的支給などが提言されている。

特に補助金制度については、車両購入時に半分を支給し、年間1,040キロ・ワット時(kWh)以上の実充電記録が確認された後、残額を追加支給する方式への改編が主張されている。これは、メーカーやユーザーが単なる規制回避のためにPHEVを利用することを防ぎ、実質的な電気走行を誘導するための装置と解釈される。

伝統的な完成車メーカー各社は、サプライチェーンの負荷やコスト増を理由に、PHEVを軸とした過渡期戦略の容認を求める可能性が高い。しかし、実質的にEVと同等の環境性能を担保する厳格な基準を設けなければ、PHEVが新たな規制回避の手段に形骸化する恐れがあるとの警告が出されている。

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