
内燃機関時代の伝統的強豪だったドイツのメルセデス・ベンツが、電動化時代のリーダーへと飛躍するため「次世代生産(Next Level Production)」戦略を推進する。今後3年間で過去最大規模となる新車攻勢に打って出る。
メルセデスはこの戦略に基づき、3年間で3大陸にわたり40車種以上の新車を生産する計画を明らかにした。デジタル化と自動化を通じ、グローバル生産ネットワークを柔軟かつ効率的、そして持続可能に進化させることが狙いだ。
ドイツ・ブレーメン工場とハンガリー・ケチケメート工場は電動化モデルを軸とする次世代生産戦略の象徴的拠点となる。ブレーメン工場では新型GLCが、ケチケメート工場ではEQ技術を採用した新型Cクラスが生産される。

次世代MB.EA電気自動車アーキテクチャを基盤とした初のモデルとなるGLC電気自動車は来年第1四半期、新型Cクラスは第2四半期から生産が始まる。GLC EVは内燃機関モデルやハイブリッドと同一ラインで製造され、中国向けには北京工場でロングホイールベース版を展開する。
欧州では20億ユーロ(約3,500億円)以上の投資を計画。ラシュタット工場ではMMAプラットフォームを採用するCLA EVの量産が開始され、ジンデルフィンゲン工場では次世代AMG高性能EVの生産準備が進む。
さらにメルセデスは2027年までに生産コストを2024年比で10%削減する方針を示した。デジタルツインやAIの活用、MO360データプラットフォーム、MB.OSとの連携による効率化に加え、物流分野ではヒューマノイドロボット導入を拡大。2030年までに再生可能エネルギー比率を70%、2039年には全施設を100%にする持続可能性の目標も掲げる。

メルセデスの生産・品質・サプライチェーン担当イェルク・ブルツァー氏は「次世代生産戦略はグローバルネットワークの柔軟性と効率性を飛躍的に高める」と述べ、「各工場の大規模な変革を通じて未来のポートフォリオを成功に導く」と語った。