「スバル、独自EV開発を事実上凍結」営業利益90%減の直撃で戦略転換

引用:スバル
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スバルは、自社開発の電気自動車(EV)発売計画を事実上無期限延期した。業績の悪化と米国市場の先行き不透明感が重なり、独自EVの拡大に代えてハイブリッド車(HV)と内燃機関車を軸とした戦略に軸足を移す姿勢を明確にしている。

電気自動車専門メディアのElectrekによると、スバルは当初2028年までに自社開発のEV最大4車種を発売する計画を延期したという。これに伴い、群馬県大泉工場内の新工場でEVを生産する構想も先送りされ、同工場はまずガソリン車とHVの生産に活用される予定となっている。

スバルは従来の計画で2027年から新工場での自社開発EV量産を目標としていた。しかし今回の決定により、独自のEVプログラムは事実上凍結状態に入ったとの見方も出ており、同社は新たな発売時期も明示していない。

業績急悪化が直撃——営業利益90%減の衝撃

今回の戦略修正は急激な業績悪化と関連している。2026年3月期の営業利益は前期比約90%減の401億円にとどまった。純損益も513億6000万円の赤字に転落した。1年前に3250億円の黒字を記録していたことと比較すると、収益性が急激に悪化したことになる。

同社は、米国事業に起因するコスト増が業績悪化の主因と説明した。関税負担だけで約2290億円が発生し、EV関連の損失計上で約3億8500万ドル(約612億円)規模のコストが追加された。さらに米国政府の政策変更により環境規制クレジットの価値が下落し、280億円規模の評価損も業績に反映された。

スバルの大崎篤CEOは米国市場の状況を理由にEV戦略の全面的な見直し方針を表明し、新たな発売時期を示す前にEV戦略全体を再検討すると述べた。

繰り返されるEV戦略の見直し

スバルの電動化戦略見直しは今回が初めてではない。同社は昨年11月にも約1兆5000億円規模で設定していたEV投資計画の一部をHVと内燃機関開発に転換すると発表していた。今回は自社EV開発の日程自体を延期し、戦略修正の幅がさらに大きくなった。

日本の自動車業界全般でも同様の動きが相次いでいる。マツダは自社EVの発売時期を2027年から2029年以降に延期し、EV投資規模も従来の約125億ドル(約1兆9,900億円)から約75億ドル(約1兆1,900億円)に縮小すると発表した。トヨタ、ホンダ、スバル、マツダなど主要メーカーがEV投資の速度調整に入っている状況だ。

一方、トヨタとの共同開発EVプロジェクトは継続される。スバルはトヨタのプラットフォームをベースに開発したソルテラ(SOLTERRA)、アンチャーテッド、トレイルシーカー、3列SUVのゲートウェイなど4車種については、予定通り発売する方針を示している。

こうした流れを受け、業界では、スバルが当面は独自のEVプラットフォーム開発より収益確保とトヨタとの協業モデルを軸とした戦略に集中するとの見方が強まっている。

スバルの電動化ロードマップ——今後の展望

スバルはかつて2030年までにEVの比率をグローバル販売の約半数に拡大する目標を掲げていたが、自社EVの発売日程が事実上消えたことで、目標の達成可能性が問われている。新工場の運営方針がEVからHV・内燃機関車中心に転換されたことから、スバルの電動化戦略は当面は慎重な展開が続くとみられている。

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