
【引用:トヨタ】わずか数年前まで世界のメディアと業界はトヨタを時代遅れと批判していた。各社が電気自動車への全面シフトを宣言し内燃機関の終わりを語る中でトヨタだけがまだ早いとハイブリッドを選び続けたためだ。その姿勢は保守的だと揶揄されトヨタの時代は終わったという悲観論まで広がった。しかし2025年現在情勢は完全に逆転した。電気自動車の急成長はインフラ不足や高価格火災不安といった現実にぶつかって失速し一方でトヨタはハイブリッド需要を掴み史上最高業績を更新した。理想を追った競合が減産に追われる中でトヨタの工場だけが途切れず稼働している。

【引用:トヨタ】復活の中心にいたのは高級車でも派手な新型車でもなく米国で異常な人気を見せるRAV4ハイブリッドだった。広い室内空間と高い耐久性それに15〜20kmを超える実走燃費という最も無難で最も強い特性が米国の中産層に的確に刺さった。電気自動車の不安は避けたいがガソリン車の燃料費も抑えたいという現実的な事情に対しRAV4ハイブリッドは代わりのない一台となった。納車待ちは数か月に及び一部では定価超えで販売されるほどだ。ここにカムリハイブリッドと新型プリウスが加わりトヨタの3本柱として強固な需要を生み出した。

【引用:トヨタ】ハイブリッドの強さは短期の利益にとどまらない。大量の販売益はトヨタが次の主役と位置づける全固体電池の研究開発を支える基盤となっている。トヨタは現行のリチウムイオン式電気自動車を過渡期の技術と見ており火災リスクが低く航続距離が大きく伸びる全固体電池こそが本命だと考える。その実用化が視界に入る2027年以降の本格的な電気自動車競争に向けいまはハイブリッドで市場を押さえながら技術差を広げる段階だ。ハイブリッドは古い技術ではなく現実的で最も強力な移行手段となっている。

【引用:トヨタ】2025年のトヨタ復活は業界全体に重要な示唆を与えている。メーカーが未来を語っても消費者が選ぶのは生活に合った現実的な一台だという点だ。電気自動車の理想に走り壁にぶつかった競合と異なりトヨタは利用者の目線で必要な車を作り続けた。RAV4ハイブリッドが記録した41%成長はその姿勢を貫いた結果と言える。電気自動車の時代は必ず到来するがその未来へ最も堅固な橋を築いたのはテスラではなくトヨタかもしれない。
