
【引用:フォルクスワーゲン】フォルクスワーゲンID.Buzzは、1960〜70年代のワーゲンバスを現代の電動技術で再解釈した象徴的存在として登場した。公開当初から強い視覚的インパクトを放ち、電動化時代における新たなブランドアイコンになるとの期待を集めた点は疑いない。単なる新型EVではなく、ブランドの過去と未来をつなぐ存在として語られたこと自体が、このモデルに託された役割の大きさを物語っている。

【引用:フォルクスワーゲン】コンセプト段階からID.Buzzは長年にわたり姿を変えながら注目を浴び続けてきた。2001年のマイクロバス・コンセプトに始まり、BulliやBUDD-eを経てたどり着いた量産形は、フォルクスワーゲンが電動化においても感性や物語性を捨てないという意思表示に見えた。しかし米国市場への投入後、その評価は徐々に現実的な視点へと移り、期待先行の空気は落ち着きを見せ始めた。

【引用:フォルクスワーゲン】販売は2024年末に始まったが、約6万1,500ドルからという価格設定は電動ミニバンとしても高水準で、四輪駆動やツートン仕様を選べば7万ドル近くに達した。航続距離も約230マイルにとどまり、同価格帯の電動SUVやセダンと比べると訴求力は限定的だった。結果として価格と性能のバランスに疑問が生じ、初期の関心は短期間で冷却された。

【引用:フォルクスワーゲン】加えて関税政策の変化やEV市場全体の成長鈍化、税制優遇縮小といった外部要因が重なり、ID.Buzzは2026年モデルを米国市場に投入しない決定に至った。完全撤退ではなく、2027年モデルでの再挑戦が示唆されているが、同じ条件での復帰は現実的ではない。ID.Buzzの歩みは、電気自動車市場がもはや象徴性やデザインだけでは成立しない段階に入ったことを示す一例であり、フォルクスワーゲンにとっても次の一手が厳しく問われる局面となっている。
