
【引用:メルセデス・ベンツ】メルセデス・ベンツは予想を覆し続けてきたが、今回も例外ではなかった。2025年ミュンヘンIAAモビリティショーで公開予定の「GLC EV」は、39.1インチの巨大スクリーンを採用し、運転席の概念を一新した。単なる新型SUVの発表にとどまらず、ベンツが「EQ」という独立ブランドを整理し、電動モデルを既存ラインナップに統合する戦略の第一歩を象徴している。

【引用:メルセデス・ベンツ】「ハイパースクリーン」と名付けられたパネルは、従来のEQSのように複数画面をガラスで覆う形式ではなく、最初から単一の巨大ディスプレイとして設計された。1,000個以上のLEDを備えたマトリックスバックライトが鮮明な映像を生み出し、わずかに湾曲した画面が運転者の視界を包み込む。映画館の座席に座っているかのような没入感が得られることから「シアター型運転席」とも呼ばれている。

【引用:メルセデス・ベンツ】もっとも、華やかなスクリーンは注意散漫を招く懸念もある。ベンツはその課題に対し「インテリジェント・ゾーン・ディミング」を導入。走行中は必要な情報だけを強調表示し、それ以外は暗く抑える仕組みを採用した。さらにアンビエントライトを操作系や警告に連動させることで、運転者が大きく視線を動かさずとも変化を察知できるよう工夫されている。

【引用:メルセデス・ベンツ】新型GLC EVはAIによる「ゼロレイヤー」インターフェースを搭載し、利用者の行動習慣を学習して頻繁に使う目的地や機能を優先表示する。指紋認証で個人設定を呼び出せるほか、座席位置や走行モード、照明テーマなど最大800種類のカスタマイズが可能。物理スイッチを極力減らしながらも、音量調整ダイヤルのように操作性に直結する要素は残されている。車両は「個人専用のデジタル空間」へと進化した。

【引用:メルセデス・ベンツ】プラットフォームにはEV専用「MB.EA」を採用。800Vアーキテクチャと94.5kWhバッテリーにより、WLTP基準で約650kmの航続を実現し、10分間の充電で260km以上を走行できる。後輪モーターには2段トランスミッションを組み合わせ、高速域での効率を高めた。4Maticによる四輪駆動と合わせ、パフォーマンスと効率の両立を追求している。

【引用:メルセデス・ベンツ】巨大スクリーンは革新であると同時にリスクも孕む。専門家の中には「注意力を奪う危険がある」との声もあれば、「ゾーンディミングとAIの組み合わせが新たな安全基準を築く」と評価する意見もある。GLC EVの挑戦は、技術革新が抱える課題に対するベンツの回答そのものだ。劇場のような運転席が市場でどう受け止められるのか、注目が集まっている。