「ロシア版ロールスロイス」アウルス・セナートの衝撃…プーチン専用7t防弾リムジンを金正恩が試乗運転

アウルスはロシアを代表する最高級自動車ブランド。その中でも「セナート・リムジン」は、ウラジーミル・プーチン大統領のために特別開発された儀典車両として知られる。2012年、ロシア中央自動車エンジン科学研究所(NAMI)が開発を主導し、国家プロジェクトとして約180億円もの巨額資金が投じられた。

「アウルス」はロシア語で「王の道」を意味し、「セナート」は議会を指す言葉。モデル名には、ロシア独自のラグジュアリー精神と権威を体現する意図が込められている。

セナート・リムジンの全長は6.6mに達し、ロールスロイス・ファントム・ロングホイールベースを凌ぐサイズ。米大統領専用車「ビースト」すら上回る威容を誇る。巨大な鋼鉄ボディと豪奢な室内、総重量7tというスケールは、どの道路でも圧倒的な存在感を放つ。外観はクラシックなラグジュアリー様式に、クライスラー300Cを思わせるヘッドライト、ベントレー・フライングスパーを連想させるテールランプを融合させた。

キャビンは最高級の天然木、レザー、金属を惜しみなく使用し、大型ディスプレイを備えた最新インフォテインメントを搭載。厚さ6cm超の防弾ガラスや12mmの装甲、ホウ素含有素材などによる防護性能は「伝説級」と称される。銃弾や爆発物だけでなく化学兵器にも対応し、夜間投視装置、緊急脱出口、防水機能まで備えている。

パワートレインはドイツ・ポルシェと共同開発した4.4L V8ツインターボ ハイブリッド。最高出力約598psを発揮し、9速ATと常時四輪駆動システムを組み合わせることで、巨体ながら圧倒的な加速と安定性を実現している。ハイブリッドシステムは瞬発力とスムーズな走行性能を両立させる。

安全面では9つのエアバッグ、ESC(電子安定制御)、自動緊急ブレーキ、歩行者検知、死角監視、衝突回避支援、交通標識認識などを完備。さらに衛星通信による緊急システム、強化ランフラットタイヤ、空気圧縮システムなど、国家レベルの危機にも対応できる装備が与えられている。

ロシア国内価格は約1億6,000万円。完全オーダーメイド生産で年間約5,000台に限定され、主に国家元首や特別なVIPのみが手にすることができる。プーチン大統領が北朝鮮の金正恩総書記と同乗した場面は、ロシア・北朝鮮外交の象徴として世界に報じられた。アウルス・セナートは、ロシアの技術力と威厳、そして最高級の安全・生存性能を凝縮したリムジンとして、自動車史に強烈な足跡を残している。

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