「止まれなかった」フォード自動運転、死亡事故2件でNTSBが下した”技術への信頼”への判決

引用:フォード
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ブルークルーズ死亡事故でNTSBが警告——レベル2自動運転の規制空白に批判集中

米国家運輸安全委員会(NTSB)は、フォード・モーターの部分運転自動化システム「ブルークルーズ(BlueCruise)」を巡る一連の死亡事故調査を終え、現行のレベル2自動運転技術に対する規制の脆弱性について厳しい批判を展開した。

2024年の2件の死亡事故——テキサス州とペンシルベニア州で相次ぐ衝突

3月31日、NTSBは2024年に発生したフォード「マスタング・マッハE」による2件の衝突事故に関する報告書を公表した。米連邦政府に対し、ハンズフリー機能を備えた部分自動運転システムを対象とした包括的な安全基準の策定と、監督体制の抜本的強化を求める勧告を正式に発出している。

事故はテキサス州サンアントニオとペンシルベニア州フィラデルフィアの高速道路上で発生した。いずれも「ブルークルーズ」が作動した状態で、停車中の車両に高速で追突するという痛ましい結果を招いている。NTSBの調査によれば、システムの自動緊急ブレーキ(AEB)は静止した物体を十分に検知できず、衝突直前まで減速や回避行動が一切行われていなかったことがデータによって示された。

ドライバーの「過信」とシステムの不備——事故の根本原因

NTSBは、事故の根底にある問題として、ドライバーの技術への「過信」と、それを助長したシステムの不備を挙げた。フィラデルフィアの事故では、ドライバーが飲酒や薬物の影響下でスマートフォンの操作に没頭していた事実がテレマティクスデータによって裏付けられた。しかし、フォードのドライバー・モニタリング・システム(DMS)は、ドライバーの視線逸脱を正確に検知してシステムを遮断することができなかった。

NTSB委員長が警鐘——「規制当局もメーカーも傍観は許されない」

ジェニファー・ホメンディ委員長は公聴会で、「メーカーも規制当局も、道路利用者の安全を守るために『ハンズオフ(傍観)』の姿勢をとることは許されない」と表明した。ハンズフリー技術が普及する中で、ドライバーの注意力を維持させるためのより強固なメカニズムが必要であると訴えている。

米国のレベル2規制の実態——事実上の「野放し状態」が露呈

現在、米国運輸省道路交通安全局(NHTSA)によるレベル2システムへの規制は後手に回っており、事実上の「野放し状態」にあることが今回の調査で浮き彫りとなった。特に、ブルークルーズが工事区間などで制限速度を大幅に超過する時速20マイル(約32km/h)以上の設定を許容していた点は、安全上の重大な欠陥として特定されている。

EU基準を参照——NTSBが求める性能試験とデータ記録の義務化

NTSB理事会は、現行のレベル2システムを「安全基準が欠如した無法地帯」と断じ、欧州連合(EU)に倣った厳格な性能試験とデータ記録の義務化を要求した。メーカー側が「最悪の事態」を想定したシステム設計を怠っている現状を厳しく指弾した今回の報告書は、自動運転技術の進展速度に対し、米国の規制枠組みがいかに危機的な遅れをとっているかを鮮明に映し出している。

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