「ポルシェ級」の電気セダンが、1年で3回燃えた…シャオミSU7が突きつけたITカーの限界

中国IT企業の自動車市場参入が加速するなか、シャオミ初の電気セダン「SU7」が相次ぐ火災問題で批判にさらされている。発売当初は高い性能・長い航続距離・手頃な価格で大きな注目を集めたモデルだが、一連の事故を経て安全性への懸念が急速に高まっている。



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引用: Xiaomi

シャオミSU7は500万円台の価格帯に、最大900kmの航続距離と高性能な電動パワートレインを組み合わせた電気セダンだ。一部の高性能グレードでは0-100km/h加速が約2.7秒とされており、「ポルシェ級の性能を持つEV」として大きな話題を呼んだ。

しかしこの1年で複数の火災事故が報告され、状況は一変した。特に一部の事故では、衝突後に車両の電子式ドアシステムが正常に作動せず、乗員が脱出困難に陥ったとの指摘が上がっている。

業界では、これらの問題を受けて電子式ドアシステムの安全性を改めて問い直すべきとの声が出ている。電子式ドアはボタンや電子デバイスでドアを開閉する方式で、近年のEVや先進的な車両に広く採用されている。

問題の核心は、衝突や火災などの緊急時に電源が遮断された場合、システムが機能しなくなるリスクだ。一部の車両では物理的な非常用レバーを別途設けているが、操作が直感的でなかったり、その存在自体が広く知られていなかったりするため、実際の緊急場面での活用が難しいという指摘もある。

SU7の火災問題はEV全体の安全性議論とも深く絡んでいる。EVはバッテリー火災が発生した場合、内燃機関車より消火が難しく、熱暴走が連鎖しやすいという特性を持つ。

専門家は、EV性能競争が激化するほどバッテリーの安全設計と衝突安全性の確保がいっそう重要になると口をそろえる。とりわけ高出力EVではバッテリーのエネルギー密度が増すだけに、熱マネジメントシステムと多重安全装置の整備が不可欠だと強調する。

シャオミSU7はかねて「クルマというよりタイヤのついたスマートデバイス」と評されてきた。大型ディスプレイやスマートフォン連携機能、高性能チップセットを活用した自動運転機能など、IT企業ならではの技術を大量に詰め込んだことがその理由だ。

しかし専門家の一部は、自動車産業において最も根幹にある要素は依然として安全性だと指摘する。スマートフォンやIT機器と異なり、自動車のシステム障害は単なる不便にとどまらず、人命に直結しうるからだ。

今回の問題を契機に、伝統的な自動車メーカーが長年積み上げてきた安全設計とテストプロセスの価値が改めて見直されているとの声も上がっている。衝突試験やバッテリーの安全検証、様々な状況を想定した耐久試験は、数十年にわたる技術と経験の蓄積があってこそ成立する領域だからだ。

シャオミSU7をめぐる一連の問題は、EV時代における自動車産業の進むべき方向を問い直す事例として注目されている。華やかな性能と先端技術と同じ重さで、乗員の命を守る安全技術が問われなければならない、そのことを改めて突きつけた出来事といえる。

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