
ルノーグループ、吉利汽車、サウジアラムコの3社が設立したパワートレイン専門企業「ホース・パワートレイン(HORSE Powertrain)」が、内燃機関(ICE)の寿命を延ばし、カーボンニュートラルに大きく貢献する革新的なハイブリッド・ソリューションを発表した。スペインのエネルギー大手レプソル(Repsol)と協力して開発されたこのシステムは、電動化のみを唯一の解としない「技術中立性」の視点を実証したとして、業界から熱い視線が注がれている。
今回のプロジェクトの核心は、ホース・パワートレインの高度な技術力と、レプソルが供給する「100%再生可能燃料(Renewable Gasoline)」の融合にある。両社は化石燃料を一切使用しない再生可能ガソリンを用いながら、既存のハイブリッド車を凌駕する高効率パワートレイン「H12コンセプト」を完成させた。
■ 熱効率44.2%、燃費30km/L超の圧倒的性能
H12コンセプトは、従来の1.2リットル3気筒「HR12」エンジンをベースにしながらも、その内部構造は完全に刷新されている。技術的なハイライトは、ガソリンエンジンとしては異例の「17:1」という高圧縮比の実現だ。通常、高圧縮化に伴い発生しやすくなるノッキング現象を、再生可能燃料の特性に合わせた燃焼最適化技術と、次世代の排気再循環(EGR)システムによって克服した。
これにより、エンジンのブレーキ熱効率(BTE)は世界最高水準の44.2%に到達。WLTP基準での燃費は100kmあたり3.3リットル(約30.3km/L)未満を記録し、2023年の欧州新車平均と比較して燃料消費量を約40%削減することに成功した。中型車が年間1万2,500kmを走行する場合、従来の化石燃料車に比べて二酸化炭素排出量を年間約1.77トン削減でき、電気自動車(EV)に匹敵する環境性能を実現している。
■ 2026年初頭にデモンストレーター車両による実証開始
ホース・パワートレインは、すでに2台のプロトタイプエンジンの製作と性能検証を完了させている。両社はこの革新的なハイブリッドシステムを実車に搭載した初の試験モデル(デモンストレーター車両)を、2026年初頭に正式公開する計画だ。
ホース・パワートレインのパトリス・アエッテル最高執行責任者(COO)は、「H12コンセプトは、単一の技術に依存することなく即座に排出ガスを削減できる代替案を示すものだ」と述べ、EV、ハイブリッド、そして低炭素燃料が共存する未来のモビリティ市場における競争力を強調した。今回の発表は、内燃機関技術が再生可能燃料と結びつくことで、依然として強力なカーボンニュートラルの手段となり得ることを明確に示唆している。