「そのDPFクリーニング、無意味かもしれない」すすとアッシュを混同すると数十万円が消える

かつては卓越した燃費と豊かなトルクで長距離走行や商用利用を支えてきたディーゼル車。しかし年式を重ねるにつれ、オーナーたちの頭を悩ませるのが計器盤に突如点灯する一つの警告灯だ。



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引用:EV-Hotissue

その正体は、ディーゼル車の排気系の要「DPF(ディーゼル微粒子捕集フィルター)」だ。エンジンもミッションも無傷なのに、このフィルター一つが詰まっただけで最低でも約20万円、輸入車ともなれば約130万円を超える交換見積もりを突きつけられる事態が後を絶たない。

市場価格が100万円を下回るような古いディーゼル車のオーナーにとって、DPF交換判定は事実上の廃車宣告に等しい。



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引用:EV-Hotissue

DPFとは何か。ディーゼル微粒子フィルター(Diesel Particulate Filter)の略称で、ディーゼルエンジンが排出するすすや微粒子状物質(PM)を捕集し、大気を浄化する装置だ。

その内部構造は一般的な紙フィルターとは異なり、チェス盤状にジグザグ交差した緻密なハニカム構造で構成されている。排気ガスがこの多孔質の壁を通過する際、汚染物質が物理的に捕捉される仕組みだ。

捕集した残渣を蓄積し続けるわけにはいかないため、DPFには「再生(Regeneration)」と呼ばれる自浄機能が備わっている。高速道路を時速100km以上で走行すると排気温度が自然に600℃以上に達し、堆積したすすが自燃して浄化される「パッシブ再生(自然再生)」が起こる。

問題は都市部の渋滞走行だ。排気温度が十分に上がらずフィルターが限界に近づくと、車両は自己防衛のために排気系へ燃料を直接噴射して強制点火する「アクティブ再生(強制再生)」を実行する。「急にRPMが上がって燃費が悪化した」というオーナーのよくある訴えは、まさにこの強制再生が進行中のサインだ。



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引用:EV-Hotissue

ここで重要なのが「すす(Soot)」と「アッシュ(Ash)」の違いだ。再生で燃焼・消滅するのはすすのみ。真の問題はエンジンオイルや燃料添加剤が燃えた後に残る不燃性の灰、アッシュだ。アッシュはどれほど高温でも燃えることなく、フィルター内部に石のように固く堆積し続ける。

アッシュが限界まで蓄積すれば再生では対処できず、フィルターの丸ごと交換しか選択肢はなくなる。エンジンオイル選択時に最高価格帯より「Low-SAPS(硫黄・リン成分を抑えたアッシュ発生量の少ない低灰分エンジンオイル)」規格への適合を最優先すべき理由がここにある。



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引用:EV-Hotissue

高額修理を回避するための実践対策を整理しておこう。基本は「熱の管理」だ。短距離走行の繰り返しを避け、定期的に開けた道路で60km/h以上・2,000〜3,000RPMを維持したまま30分以上の定速走行を心がける。自然なパッシブ再生を促す最も手軽な方法だ。

走行中にRPMが通常より高く維持され、排気口から熱気や独特の臭いがする場合は強制再生中のサイン。目的地に着いてもすぐにエンジンを切らず、作業完了まで待つことが重要だ。AdBlue(アドブルー)は純正品・規格品を使用すること。粗悪品はDPF系統にダメージを与える。



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引用:EV-Hotissue

予防整備として、燃料添加剤タイプのDPFクリーナーの定期使用も有効だ。品質の高いクリーナーはすすの燃焼開始温度を600℃から400℃前後まで引き下げる効果があり、渋滞の多い市街地走行でもパッシブ再生が起きやすくなる。強制再生の頻度が減れば燃費改善とフィルター寿命の延長につながる一石二鳥の効果だ。

ディーゼル車は給油だけで走り続ける機械ではない。排気温度管理とオイル選択に目を向け、定期的な予防整備を怠らなければ、10年を超えても力強く走り続ける。それがディーゼルエンジンの本来の姿だ。

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