
【引用:Depositphotos】春先にエアコンを作動させた際、酢のような刺激臭が発生する事例は珍しくない。フィルターを新品に交換しても改善しない場合、原因は空調ユニット内部に存在する可能性が高い。特に走行5年前後の車両では、エバポレーター周辺の湿気管理不足や汚れの蓄積が進行しているケースが多く、単純な消臭処理では根本解決に至らない。

【引用:Depositphotos】最も典型的な原因はエバポレーターに付着したカビ・細菌の繁殖である。冷房作動時、エバポレーター表面は急冷され、空気中の水分が凝縮して常時湿潤状態になる。エンジン停止後も水分が残留すると、暗所かつ高湿度という微生物増殖に適した環境が形成される。ここで発生する代謝生成物が酸性臭の正体であり、単なる芳香剤では中和できない。対策としてはエバポレーター専用洗浄剤の注入、もしくは分解を伴う高圧洗浄が有効で、臭気が強い場合は後者が確実である。

【引用:Depositphotos】次に確認すべきはブロアファンの汚損である。ファンブレードに付着した微細粉塵や有機物が湿気と結合すると、粘着性の堆積物となり異臭源となる。フィルター交換のみでは除去できない領域であり、送風開始直後に臭いが強い場合はこの可能性が高い。多くの車種ではグローブボックス下部からアクセス可能で、取り外して中性洗剤とブラシで清掃することで臭気低減効果が期待できる。分解に不安がある場合は整備工場での洗浄依頼が現実的である。

【引用:Depositphotos】三点目はドレンホースの排水不良である。正常であれば冷房作動中に車両下部から結露水が排出されるが、異物や泥詰まりがあるとケース内に滞水が発生する。滞留水は時間経過とともに腐敗し、送風経路を通じて車内へ臭気を拡散させる。確認方法は簡単で、冷房作動中に排水が見られない場合は詰まりの可能性が高い。高圧エアによる貫通作業で解消できることが多く、下回り洗浄も予防策として有効である。

【引用:Depositphotos】再発防止策として重要なのは使用後の乾燥管理である。目的地到着5〜10分前にA/Cスイッチをオフにし、外気導入モードで送風のみを行うことでエバポレーター表面を乾燥させることができる。近年ではアフターブロウ機能を備える車種も増えており、エンジン停止後に自動で内部乾燥を行うことで湿気残留を抑制する。後付け装着も可能なため、長期的な衛生管理を考慮するなら導入価値は高い。

【引用:Depositphotos】総合すると、酸っぱい臭いの根本原因はフィルターではなくエバポレーター周辺の湿気環境にある。軽度であれば市販洗浄剤やファン清掃で改善可能だが、強い臭気や長期放置車両では専門的なエバポレーター洗浄が最も確実である。臭気は快適性の問題にとどまらず、車内空気質にも直結する。症状の段階に応じた対策を選択することが合理的なアプローチと言える。