
【引用:メルセデス・ベンツ】指紋でも顔でもない。メルセデス・ベンツが特許として示したのは、赤外線で手のひらの血管パターンを読み取り、車両のロックを解除するという異色の生体認証システムだ。Bピラーやサイドミラー下部に設置されたスキャナーに手のひらをかざすだけでドアが開く構想は、映画的でありながらも、特許文書では具体的な配置や構造まで踏み込んで描かれている。

【引用:欧州連合知的財産庁】自動車業界における生体認証はすでに珍しい存在ではないが、ベンツが選んだのは既存方式とは異なる道だ。顔認証やカメラ型システムに比べ、待機電力を大幅に抑えられる点、そして表面情報ではなく内部構造である血管を使う点を重視している。改ざん耐性と電力効率を軸に据えた設計思想は、技術的には理にかなっている。

【引用:メルセデス・ベンツ】特許では、この手のひら認識を車外の解錠だけでなく、車内のユーザー認証にも拡張する構想が示された。特定の血管パターンが認識された場合にのみ始動を許可し、シート位置やインフォテインメント設定を自動で呼び出すといった使い方だ。生体情報は暗号化され、車両内部にのみ保存される設計で、外部サーバーと直接接続しない点も特徴とされる。

【引用:メルセデス・ベンツ】一方で、実際の使用環境を想定すると疑問も残る。車体外部の特定位置に手のひらを密着させる必要があり、雨や雪、汚れ、真夏の高温や真冬の冷え、さらには手袋の着脱といった日常的な条件が利便性に影響する。まだ特許出願段階で量産化は未定だが、この技術は安全性と使い勝手のバランスをどこに置くべきかという、自動車セキュリティの根本的な問いを投げかけている。