
メルセデス・ベンツ・グループのオラ・ケレニウスCEOは19日のインタビューで、2027年に電気Eクラス「EクラスEQ」を優先的に発売すると明かした。これにより、2026年中旬以降に登場予定のEQEフェイスリフトモデルの販売期間は、わずか1年程度に限られる可能性が高まった。
ケレニウス氏は、中国メーカーとの競争で遅れを取らないため、電気Eクラスの開発時期を前倒ししたと説明。この決定は予想されていたものの、EQEを含むEQシリーズの将来像が既存のEクラスやSクラスに吸収され、モデルとしての存在が消えていくのではないかという見方が広がっている。

次期EQEフェイスリフトはEVA2からEVA2Mプラットフォームへと大幅に刷新され、800Vアーキテクチャを採用。これにより充電性能や航続距離の改善が期待される。しかしEクラスEQが2027年下半期に市場投入されれば、EQEフェイスリフトの販売期間は1年から1年半にとどまる見通しとなる。
一方で、EクラスEQは車格の拡大と新世代プラットフォームの導入により大幅な進化を遂げる。採用されるMB.EA-Lプラットフォームは、2028年発売予定のSクラスEQ、2026年下半期のCクラスEQ、2025年春のGLC EQにも展開される。さらにバッテリーパックを車体と一体化する「セル・トゥ・ボディ」技術の採用も見込まれる。ケレニウス氏は、EクラスEQが駆動システム、運転支援、効率、居住性、快適性のすべてにおいてセグメントを押し広げる存在になると強調した。

ただし懸念されるのは、今回の発言や発表にEQEとEQSの将来計画が含まれていない点である。現行W214型EクラスがEクラスEQと並行して生産される可能性には触れられたものの、EQEとEQSについては明言されていない。