
GM、大型ピックアップトラックを増産へ 原油高でも堅調な需要背景に市場シェア拡大狙う
米自動車最大手のゼネラルモーターズ(GM)が、大型ピックアップトラックの生産を拡大する。原油価格が上昇しているにもかかわらず、高収益車両への需要が堅調に推移していることから、生産量を増やして市場シェアの確保に乗り出す見通しだ。
ウォール・ストリート・ジャーナルは3月30日(現地時間)、GMが6月からミシガン州フリント組立工場の稼働を、従来の週5日から週6日へと拡大すると発表したと報じた。同工場は現在3交代制で24時間操業しており、シボレー・シルバラードとGMC・シエラの大型モデル(2500・3500シリーズ)を1日約1,100台生産している。
今回の措置により、年間生産量は従来の約26万台から最大30万台規模まで増加する見込みだ。英投資銀行バークレイズは、今回の増産によって年間4万から5万台の追加生産効果が見込まれると分析している。
GMの生産拡大は、米国の自動車市場に減速の兆しが見える中での決定となった。市場調査会社は、今年第2四半期の米国新車販売が前年同期比で約6.5%減少すると予測している。さらに中東情勢に伴う地政学的リスクにより、米国内のガソリン価格が3割以上高騰するなど、消費者の負担も増大している。
それにもかかわらず、大型ピックアップトラックの需要は依然として堅調だ。建設業者などの業務用需要に加え、個人消費も持続しており、高価格帯車両の販売が維持されているためだ。大型ピックアップはベース価格が約5万ドル(約793万円)からで、オプションによっては10万ドル(約1,587万円)を超える代表的な高収益車種とされる。
実際、昨年の米国大型ピックアップ市場は約240万台規模で、前年同期比3.7%成長し、自動車市場全体の成長率(約2%)を上回った。このうち約75%をGMとフォード・モーターの2社が占めており、強力な二強構造が続いている。
GMの今回の増産は、競合するフォードを牽制するための戦略的な動きとも解釈される。フォードの「Fシリーズ」は全米ベストセラー車であり主要な収益源だが、足元ではサプライチェーンの混乱により生産に一部支障が出ている。
これに対し、フォードも生産拡大に拍車をかけている。ケンタッキー工場で「スーパーデューティー」の生産速度を引き上げ、ミシガン工場では「F-150」増産のために交代制勤務を追加導入した。また、今夏には主要トラック工場の定期休暇に伴う稼働停止を見送る方針だ。
一方、GMはカナダのオンタリオ州でも同モデルを生産しているが、関税導入を受けて米国内での生産比率を高めている。フリント工場の増産について、同社はカナダ工場の生産体制に影響はないとしている。
業界では、短期的な原油高が消費パターンの変化に直結するには時間がかかるとみている。GMの財務責任者は「通常、ガソリン価格の高騰が4カ月から6カ月以上続かなければ、消費者が燃費重視の車両選びを検討し始めることはない」と述べた。