テスラの販売量減少
電気自動車から完全撤退した顧客も多数
ディーゼルモデルまで購入する例も

わずか数年前まで、内燃機関車のオーナーたちがこぞってテスラに乗り換え、電気自動車時代の象徴として君臨していたテスラだが、最近はその勢いに陰りが見え始めている。市場調査機関S&P Globalによると、2025年第2四半期の米国内ブランドロイヤルティは58.1%で、前年から9.4ポイント低下。フォード(59.6%)を下回る水準となった。
テスラは依然としてモデル3とモデルYという2つの主力モデルに依存しているが、登場から時間が経ち鮮度を失ったとの指摘がある。加えて、CEOイーロン・マスク氏の政治的発言が一部顧客の離反を加速させたとの分析も出ている。その一方で、BMW、メルセデス、トヨタなど幅広いラインナップを持つ競合が顧客を取り込んでいる。
注目すべきは離れた顧客の動きだ。調査によれば、テスラを離れた顧客の31.1%が電気自動車自体を諦めている。そのうち28.2%はハイブリッド車へ移行し、2.9%はディーゼル車を選択した。特にテスラからシボレーへ乗り換えた顧客の8%がディーゼルモデルを購入しており、業界ではサイバートラックに不満を持った顧客がシルバラードのディーゼルに流れたとの見方が広がっている。

純電気自動車(BEV)全体のロイヤルティも下落傾向にある。2023年の68%から2025年には58.7%に低下。一方で内燃機関車のロイヤルティは依然として84%と高水準を維持し、ハイブリッド車のロイヤルティは着実に上昇している。興味深いのは、テスラ以外のEVブランドのロイヤルティが上昇し、46.4%に達したことだ。テスラ以外のブランドが信頼を徐々に高めていることを示している。
それでもテスラは依然として強い吸引力を持つ。今年第2四半期の時点で、シボレーオーナーの2倍以上を引き付け、BMWに対しても優位を維持している。ただしかつての圧倒的独走体制は揺らぎつつあり、電気自動車市場は激しい競争の時代に突入しているとの見方が強まっている。