短距離運転は本当に安全か、エンジンが適温に届かないリスク

【引用:Depositphotos】短距離運転は一般に15分未満、または約15km未満の走行を指すとされる。この条件下では、長距離中心で走行した車両よりもエンジンに不利な影響が生じやすい。短距離のみで1万km走行したエンジンが、長距離主体で30万kmを走ったエンジンより摩耗が少ない可能性は否定できないが、その差は想像ほど大きくないとされる。主因は、エンジンが理想的な作動温度に達する前に停止してしまう点にある。

【引用:Depositphotos】内燃機関は特定の温度域で最適に機能する化学反応と電気・機械システムを前提に設計されている。完全に冷えた状態で始動すると、エンジンオイルはオイルパンからポンプによって循環されるが、低温時は粘度が高く、内部通路を満たすまでに時間を要する。さらに、ピストンやシリンダーヘッドに用いられるアルミニウム、鋳鉄製のブロックやシャフト、鋼製部品は熱膨張特性が異なり、適正温度に達することで初めて設計通りの精度が確保される。

【引用:Depositphotos】短距離走行では、こうした条件が十分に整わないまま運転が終了するため、別の問題も生じやすい。ディーゼル車ではDPFが再生に必要な高温に到達せず、すすの蓄積が進行する恐れがある。ガソリン車でも、スパークプラグや吸気バルブ周辺に炭素が堆積しやすくなる。始動直後の長時間アイドリングが有効というわけではなく、車両は走行中に各システムが最も効率的に機能する構造である。

【引用:Depositphotos】短距離運転の影響はエンジンにとどまらない。停止と発進が多いためブレーキ使用頻度が高くなり、部品の摩耗が進みやすい。また、内燃機関車では始動時に大きな電力を消費する一方、短時間走行ではオルタネーターによる充電が不十分となり、12Vバッテリー性能の低下につながる可能性がある。電気自動車でも浅い充放電を繰り返す運用は、長期的に航続距離低下を招き得るとされ、一般には充電状態を20〜80%に保ち、必要時のみ満充電とする管理が推奨されている。

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